お知らせ(2009年7月)

SELENEプロジェクトの広報担当です。

打ち上げ前の「かぐや(SELENE)」ホームページの立ち上げから、早いもので2年以上が経ちました。衛星の開発、打ち上げ準備から初期機能確認(チェックアウト)を経て、定常運用、後期運用ととても多くのイベントがありました。その間、プロジェクトメンバー、観測機器チームおよび、企業からなる「team SELENE」の協力の結果、「かぐや」は大きな問題もなく、素晴らしい成果を上げ続けてくれました。「かぐや」の広報担当としては、よいニュースを連続して発信を続けることができ、こんなにうれしいことはありませんでした。

われわれは少しでも多くの「かぐや」の情報を国民の皆様にお伝えする努力を、このホームページ、画像ギャラリー、YouTube、そしてMoon in Google Earth (Google Moon)などのオンラインの媒体、プレスリリース、雑誌、学会誌などのオフライン媒体、および「かぐや」ドキュメンタリー、成果DVDの科学館などでの上映を通じて行ってきたつもりです。ただ、まだまだ、みなさまに満足していただけるレベルではなかったかもしれません。

大変残念ですが、プロジェクトの広報は7月末のプロジェクト解散をもって終了するため、我々自身での追加作業はできません。
しかし、この後も、この夏からは「かぐや」の3Dデータを使ったプラネタリウム番組「3D MOON」、秋葉原のグリーンフェスティバルでのAKIBA INFOの展示などの各地での展示、11月の「かぐや」写真集の発行など、かぐやの広報・普及啓発活動は続きます。
また、もちろん、データの11月からの一般公開や、本格的な科学成果の公表が待っており、「かぐや」がくれた宝の山の本当の活用はこれからです。
また、教育センターを通じた「かぐや」成果の教育利用、世界天文年の一環としての「かぐや」パネルなどの科学館での巡回展、産業連携による「かぐや」の成果の民間での活用などは継続して実施されます。

これからも、「かぐや」同様に、JAXAの月・惑星探査プログラムをよろしくお願いいたします。



SELENE広報・普及啓発にご協力をいただいた機関・団体にこれまでのご協力に感謝する意味をこめて感謝状を送付させていただきました。
その1つである浜松天文台から、次のように感謝状を展示していただきました。
展示の様子1展示の様子2
かぐやプロジェクトは本日で解散しますが、今後もJAXAの月探査活動へのご支援・ご協力をお願いいたします。



7月18日(土)と19日(日)の2日間、「かぐや」のラストイベント『Fly me to the Moon in AKIBA ~月を知り、地球を知るイベント。「かぐや」と今後の月探査~』が行われました。両日とも空模様はすっきりとしませんでしたが、延べ2,772名の方にお越し頂きました。
 このイベントは、「電気のまち秋葉原だからこそ出来る環境貢献」をキーワードに、エコをテーマにしたイベント「アキバグリーンフェスティバル2009」との共催で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の月探査等についてのパブリックイベントとして実施したものです。

秋葉原UDXビジョン
会場のひとつ、秋葉原UDXの「秋葉原UDXビジョン」では、540インチの迫力ある大画面で「かぐや」ラストイベントのプロモーション映像が流されました。
主催者挨拶
イベントの開催にあたり、佐々木進SELENEプロジェクトマネージャから、主催者挨拶があり、いよいよ「かぐや」ラストイベントが始まります。

講演「SELENEの開発と運用」
「SELENEの開発と運用」と題し、佐々木進SELENEプロジェクトマネージャの講演が行われました。
講演「SELENEの科学成果」
加藤學SELENEサイエンスマネージャの「SELENEの科学成果」の講演では、「かぐや」の観測で得られた科学成果について発表が行われました。
講演「今後の月探査」1講演「今後の月探査」2
月・惑星探査プログラムグループメンバーによる講演では、「今後の月探査」と題して、「かぐや」以降の月探査と宇宙活動について発表が行われました。

トークライブ「月と仏像」「3D MOON」プレビュー
「3D MOON」の完成を記念しトークライブには、ナビゲーターの“はな”さんにご登場頂きました。
「月と仏像」をテーマに、JAXA阪本成一との楽しいトークが繰り広げられ、その後、「3D MOON」のプレビューも行われました。

「かぐや、さよならコンサート」
日本の心の歌を継承する歌姫、土居裕子さんと音楽家 楯直己さん、貞光裕美子さんのトリオによる、音楽と映像のコラボレーションステージ「かぐや、さよならコンサート」。
「かぐや」のハイビジョンカメラ(HDTV)がとらえた美しい月の映像とともに、日本の心の歌が秋葉原に響きわたりました。

「よい子に読み聞かせ隊 特別公演」
「よい子に読み聞かせ隊 特別公演」では、直木賞作家 志茂田景樹氏による絵本読み聞かせ体験が行われました。物語のスライド上映をしながら、音楽隊の伴奏とともに、素直な心や夢を描くことの大切さを伝えながら月物語と絵本の世界へと引き込まれました。

講演「ツバルの大切なもの」
「ツバルの大切なもの」では、NPO法人宇宙船地球号の山本敏晴氏による講演が行われました。
地球温暖化による海面上昇により、世界で一番最初に水没すると言われているツバル。ツバルの子どもたちが描いた「大切なもの」の絵を通して、ツバル、そして地球の環境問題を訴えかけるお話は、遠い国の事だけではなく、我々の身近な問題である事を改めて気づかされるものでした。

「ウルトラマンと遊ぼう!!」
ベルサール秋葉原(2Fステージ)では、「ウルトラマンと遊ぼう!!」と題して「月」と「かぐや」について、ウルトラマンとクイズに挑戦。
また、UDXギャラリーでは、「ウルトラマンコスモスがやってくる!!」と題して、ウルトラマンコスモス、バルタン星人と「かぐや」のハイビジョンカメラ(HDTV)がとらえた「満地球の出」の前で写真撮影を行いました。写真撮影の後には、ウルトラマンコスモスとバルタン星人による会場内のパトロールも行われ、来場者の安全を守ってくれました。

宇宙飛行士「オープニングイベント」宇宙飛行士
宇宙飛行士も登場。オープニングイベントに出演したり、会場や会場周辺で「かぐや」ラストイベントのアピールを行いました。


なお、「アキバグリーンフェスティバル2009」は8月23日(日)まで開催されており、期間中、秋葉原の電気店では、「かぐや」と月探査の映像がBlu-rayで上映されています。また、秋葉原UDX2階の「アキバ・インフォ」でも「かぐや」ハイビジョンカメラ(HDTV)の映像が上映されています。
秋葉原にお出かけの際には、「かぐや」の映像も是非ご覧になって下さい。

アキバグリーンフェスティバル2009


7月22日に、日本国際連合協会茨城県本部、茨城県、茨城県水戸生涯学習センターが主催した”世界天文年2009記念 エクリプス(日食)をみんなでみよう!”で月周回衛星「かぐや」から見た月と地球の講演をしてきました。

当日は、「かぐや」のハイビジョンカメラ(HDTV)がとらえた地球のダイヤモンドリングTYCHOクレーターのフライスルー地球の出などの動画を、集まった小・中学生に見せるとともに、「かぐや」と月の謎の紹介をしました。
でも、主役はもちろん、日食。私の講演の間はずっと雨が降っており、その後も厚い雲に覆われており、日食が見えないかと思っていました。
WINDS(きずな)を使った硫黄島からの中継でしか日食が見られないかと思っていましたが、次の瞬間、学習センターの職員の方の「太陽が見える」との声にあわてて、みんなで外に見に行きました。

日食が見られる瞬間だけ、雲の切れ間があったので、より一層感動的でした。

茨城県水戸生涯学習センター


このたび、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、この7月にGoogle社との間に「かぐや」データの広報・普及啓発のためのコンテンツライセンス契約を締結しました。これにより7月21日から「かぐや」のデータがMoon in Google Earth (Google Moon)に適宜、登録・公開されることとなりました。

Google Moonでは、米国アポロ計画による一連の月面探査により得られた写真や資料を閲覧したり、テキスト検索を行ったりすることができますが、さらに「かぐや」のデータであるレーザ高度計(LALT)地形カメラ(TC)のデータなど、日本発のコンテンツを搭載することで、3次元での月全球の情報提供が可能となりました。
さらに、従来から「かぐや」のハイビジョンカメラ(HDTV)の映像はGoogle社の動画ポータルサイト「YouTube」においてJAXA channelとして公開してきましたが、Google Moonとの連携により、HDTV映像もさらに閲覧しやすくなりました。

「かぐや」のデータがこのような枠組みを通じて広く普及することにより、多くの方々の月や宇宙への関心が高まることを期待しています。



いよいよ明日からです。

SELENEプロジェクトとしての最後のイベントである秋葉原でのイベントが、明日からベルサール秋葉原とUDXギャラリーで開催されることになりました。

SELENEプロジェクトメンバーは、今晩からUDXギャラリーでの展示の準備に入ります。
筑波の特別公開で大好評であった、手作りの段ボールプラネタリウムによる「3D MOON」のプレビューも、中身をバージョンアップして実施します。

さらに、「3D MOON」のナビゲーターのはなさんとJAXA阪本教授による月と仏像のトークや、土居裕子さんのふるさとの歌とHDTVのコラボレーションは絶対に見逃せません。

今回これらに加えて、志茂田景樹先生による読み聞かせ、山本医師によるツバルのお話、そしてウルトラマンが快く協力してくださっています。

また、会期中は船外宇宙服(レプリカ)を着たスタッフも待っています。会場のベルサール秋葉原かUDXギャラリー、どちらで会えるか楽しみですね。もちろん、一緒に記念撮影もできます。

ともかく、内容がもりだくさんの2日間です。
ぜひ、秋葉原にお越しください。

SELENE広報担当

Fly me to the Moon in AKIBA


首都圏のカルチャー情報をバイリンガルでお届けしているウェブマガジン「REALTOKYO」。
いよいよ、今週末に迫った「かぐや」のラストイベント「Fly Me to the Moon in AKIBA」が紹介されました。

イベント情報 [Fly me to the Moon in Akiba] - REALTOKYO
Fly Me to the Moon in AKIBA


小惑星(10916)「Okina-Ouna」
撮影:国立天文台・石垣島天文台 むりかぶし望遠鏡
日時:2009年2月2日 05時16分35秒 [JST]
撮影データ:むりかぶし望遠鏡(口径105cm, F6.5)、
     カセグレン焦点、3色同時撮像カメラ
フィルタ:I, R, g' バンド
露出時間:300秒×5
撮影:磯貝瑞希 氏、画像処理:福島英雄 氏
今年の4月に、日本のアマチュア天文家の発見した小惑星(10880)に月周回衛星「かぐや」にちなみ「kaguya(かぐや)」と命名されましたが、このたび、小惑星(10916)に、子衛星の「おきな(リレー衛星)」「おうな(VRAD衛星)」にちなみ「Okina-Ouna(おきな‐おうな)」と命名されることが国際天文学連合(IAU)に正式承認されました。

この小惑星「Okina-Ouna(おきな‐おうな)」は、日本のアマチュア天文家である入間市児童センター(埼玉県)技術専門委員の佐藤直人さんが1997年12月31日に発見した小惑星で、以前、入間市児童センターで「かぐや」プロジェクトメンバーが講演を行ったことがきっかけとなり、佐藤さんのご厚意によりIAUへ申請され、命名されたものです。

月周回衛星「かぐや」は平成21年6月10日午前3時25分10秒(日本時間)、ミッションを終え月に制御落下いたしました。また、「おきな(リレー衛星)」は、平成21年2月12日21時08分頃(日本時間)に月面に落下いたしました。
そして、平成21年6月29日21時08分頃(日本標準時)には、「おうな(VRAD衛星)」の停波を行い、運用を終了しました。
しかし、小惑星「Kaguya(かぐや)」と「Okina-Ouna(おきな‐おうな)」の名前は、私たちの住む太陽系に今後も残ります。

末筆になりましたが、ご自分の発見された小惑星に「おきなーおうな」の名前をつけることにご尽力をいただきました佐藤さんに、ここにその労に対し深甚の謝意を表します。


小惑星「Okina-Ouna」の位置
出展:NASA JPL "Small-Body Database Browser"